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カプチーノはお熱いうちにのtheocatsのレビュー・感想・評価

カプチーノはお熱いうちに(2014年製作の映画)
3.3
ネタバレ
闘病記を悲劇としないイタリア的なエンド

沈痛ウェットなお涙劇になるかと思いきや、明るいエンディングとした点に国民性が出ているのかなと思われた。

序盤、ヒロインが粗野なマッチョイケメン性獣タイプの男(友人の彼氏)に惹かれる場面には、他の映画でも同様のパターンを見たことがあるので「イタリア女ってああいう男に弱いのか?」とシニカルに呆れてしまう。

その後ヒロインとその男が近づきになる場面と、ヒロインの恋人男性と先の彼氏の恋人(ヒロインの友人)が近づきそうになる場面が描かれ、事情がよく呑み込めないままヒロインとマッチョイケメンが夫婦になり、子供二人も生まれ成長する場面へと時間が大きく進む。
この展開が曖昧かつ急すぎるものだから戸惑いと〝苦さ”を感じるが、この部分がラストに持ってこられることで本作のテーマが明らかにされることになる。


夫婦生活にはいつしか齟齬亀裂が生じることになり、悪いことにヒロインの末期乳がんが発覚する。
ここからはよくある闘病悲哀劇的展開が続き、夫婦が愛を取り戻しウェット調で終わるのだろうと思われたが、ここからが一味違う。

死期も近くなったヒロインの回想で、途中なぜか端折られた「相互の恋人の取り換え劇」が描かれ、なぜそうなるのか日本人的感覚ではなかなか即理解というわけにはいかなかったが、悲壮感なき明るいエンディングとなってしまったのだ。

その場面の挿入自体に違和感を感じざるを得なかったが、気を取り直しその意義に思いを巡らせ、イタリア語ではどう言うのか分からないがフランス語で「ケセラセラ=なるようになるさ」的お気楽な精神で最後まで生きよう、というようなメッセージと個人的には受け取った。
というわけで悲壮でもなくお涙でもなく、少しだけ爽やかな気分で見終えられた点にイタリアらしい新奇さを感じた次第。

3.3の三ツ星
002012
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