Yoshishun

BORUTO NARUTO THE MOVIEのYoshishunのレビュー・感想・評価

BORUTO NARUTO THE MOVIE(2015年製作の映画)
4.2
2014年のNARUTO完結から1年後に公開された、ナルトの息子であるボルトが主人公の映画。原作者・岸本斉史が脚本・製作総指揮も兼任し、自ら「これ以上のものは作れない!」と豪語した程の自信作ですが、期待を裏切らぬ劇場版最高傑作でした。

前作『THE LAST』がスタッフのための完結編とするなら、本作はファンのための完結編といえます。岸本先生が大々的に関わっているだけあり、原作のテーマの1つでもあった"継承"に最もフィーチャーしています。かつてイタズラ好きで孤独だった少年が家族と火影の夢を手にしましたが、彼の息子もしっかり彼のDNAを引き継いでいる。しかし、唯一違うのは火影になりたいという夢がない点であり、火影の重務により家庭を蔑ろにしているようにみえるナルトに対し苛立ちを覚えてしまいます。

本作は、ボルトが火影の父を超えるため、努力とは程遠い方法で父を超える力を手に入れようと奮闘します。それにより、父の考える「チームワークと根性こそ、忍者にとって最も重要な要素」に反して中忍試験を受験してしまいます。大舞台で種明かしをされたこと、直後に襲撃を受け父を拐われてしまうボルトが、真の忍者として父親奪還に向かいます。ボルトの忍者としての成長がわかりやすくも熱い展開を交えながら描かれていくのが上手いと想いました。

また、その熱い展開というのも本作の見所の1つです。ナルトとサスケの連携プレーをはじめ、五影の集結、新世代の活躍とファンには堪らないアクションシーンが満載。特に犬猿の仲であったナルトとサスケが互いに協力し合いながら強敵に立ち向かう姿は必見です。サスケが攻撃により深手を負うと怒りでパワーアップするナルトをみると、かつていがみ合ってたのが遠い昔のようでした。

そして、何よりも親としてのNARUTOメンバーが観られるのも大きなポイントでしょう。原作の最終回ではほんの僅かだった親子間での関係性も、この短い尺の中で多少の早回し感はあれど描かれていたのは嬉しいところ。いきなりボルト達新世代を全面に押し出すことはせずに、各々が誰の子であり、どんな性格なのかが描かれていたのが良かったです。

まあ、結局親頼みといいますか、新世代よりも明らかにレジェンド達が目立ちまくっていたとは思います。優秀な忍とされるミツキも、手足が伸びること以外の能力が不明だし、サラダはサクラとサスケのサラブレッド以外に特に印象に残らない。また、ボルトというキャラクター自体もナルト以上にうすらトンカチということで、性格や振る舞いに苛立ちを覚えてしまいます。主要3人以外はほぼ空気でしたしね。

とはいえ、クライマックスの親子かめはめ波ならぬ親子螺旋丸等の胸熱展開満載かつテンポ良くストーリーも進んでいくので鑑賞時のストレスも過去作と比べてもかなり少ない。何よりも原作ファンやこれまで原作に触れてきた人々は観ない理由がないジャンプエンターテイメントでした。
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