十一

ファイティング・ダディ 怒りの除雪車の十一のレビュー・感想・評価

4.1
マフィアの抗争も民族問題を下敷きにしているし、キャラクタが命を落とす時にインサートされるテロップに宗派に応じた装飾が施されていたりと、邦題の頭の悪さからは意外なほど、社会問題が織り込まれている。白一色に視界を埋め尽くす冷酷で壮大な自然と、点景として繰り広げられる小さな人間の複雑な営みの対比は、詩的かつ神話的ですらある。純白の神の領域を乱す人界の醜い諍いを、雪原を切り進む除雪車の駆り手が裁定する構図は狙って作ることができるものではない。不条理ギャグの境地まで練り込まれた北欧ユーモアが冴え渡る佳作。
十一

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