唯一無二の歌声を持つエイミー・ワインハウスの早過ぎた死から今年で10年。ずっと気になりつつ、でも多分キツいだろうなと予想出来たので鑑賞を先延ばしにしていた本ドキュメンタリーをネトフリ配信終了前に滑り込みでようやく。
天才的な音楽の才能が、彼女の繊細過ぎる心と身体で支えられないほど重すぎたのだとしたら…歌手として活動し始めてからのおよそ10年間が想像以上に壮絶だった。パパラッチやゴシップ、元夫や実父などあらゆる業界のハイエナたちの餌食にされてしまったエイミーがただただ不憫で悲しい。
まだ大スターになる以前、18歳にしながら老成した魂を持ち堂々とジャズを歌いこなす少女の姿が印象的。子供時代やデビュー間もない頃に友人やスタッフ、元夫が撮影したプライベート映像は貴重だけど、おそらくパパラッチが撮影したであろう写真や映像も結構出て来て、なんとなく時々見てはいけようなものを見てるような気持ちになったりも。
信頼のおける友人達はなんとか彼女を薬物やアルコール依存から助けたかった、でも無理強いすることは出来ないという。大人である以上あくまでも本人が決めることだからと。依存症治療の難しいところではあるよね。
低迷期にあったエイミーとデュエットするトニー・ベネット御大、その懐の大きさと優しい気遣い、アドバイスの言葉があまりにも素敵過ぎて、音楽界のレジェンドの余裕を見た。
あっという間にスターダムを駆け登りながらも戸惑い続けたエイミー。不器用で正直で、自由を求めていたけれど、異常な環境がそして世界中が彼女を追い詰めてしまった。27才、生きてさえいればいくらでもやり直せる年代。きっと歌手として復活出来ただろうに、と思うと本当にやるせないな。
