メル

画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密のメルのレビュー・感想・評価

3.7
19世紀後半のパリで印象派が旗揚げをした。
その中のたった1人の女性画家ベルト・モリゾ。
これは彼女が当時珍しい女性画家として歩き出すまでの話。

上流社会の娘の手習いとして始めた絵画だったが、ベルトは絵の世界にのめり込んでいった。

既に画家として人気のあったエドゥアール・マネにモデルを依頼され、マネとの交流を通し一層絵を描く事に執着していくが、当時の風潮として女性は結婚して家庭に入るのが生きる道。

若くない自分が結婚を選ぶことも出来ず、思うように絵も描けない苛立ちの中で迷い悩む。

プロイセンとの普仏戦争を乗り越えながらも話は淡々と進みこれといって特別な事が起こることはない。

しかし、姉エドマの嫁いだ海辺の街を訪ね、印象派の特徴である屋外での写生に没頭するベルトの姿は美しく描かれている。

女性が1人で外出する事が良しとされていない為、当時流行のカフェで印象派の画家達が集まっていてもベルトはそこには行けず自宅にお客を招く事しか社交の場が無かった。
現代から想像すると窮屈だったと思う。

最終的にベルトは中々賢い選択をし、念願の画家になっていく。

ベルト・モリゾをモデルにしたマネの作品が幾つかあるが、その中でも「バルコニー」に描かれている強烈な眼差しの女性が個人的には自我の強い彼女と重なる。

BGMも無い静かな作品だが、印象派の絵画が好きな人、特に女性にはお勧めできるかも…。
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