Ryan

アイヒマン・ショー/歴史を写した男たちのRyanのレビュー・感想・評価

3.7
なぜ、動かない?




ストーリー
1961年、“ホロコーストの実行人”といわれた元ナチス親衛隊将校アドルフ・アイヒマンの裁判(アイヒマン裁判)を全世界にテレビ中継し、ホロコーストの真実を伝えた実在のテレビマンたちの姿を描いた作品である。


主演 マーティン・フリーマン
監督 ポール・アンドリュー・ウィリアムズ



最悪の裏側を捉えたもう一つの物語。
今日の日本では学校の授業やTVで学び、ナチスがどれだけ愚かだったかは共有の考え方となった。しかし、今なお海外ではその"最悪の歴史"を知らない国や人々が多数存在するのも事実。歴史の裏側の真実は苦しくなるように作られている。

かなり奇抜。
面白いし、あくまで裁判の裏側を描く物語でありつつそれを追う人々の物語である。
彼らの信念がどのようにして世界に伝えられ、彼らは何を観たのか?そんな当時の雰囲気を感じながら次第にヒートアップしていく魅せ方はまるでドキュメンタリー。

"怪物"と呼ぶのは容易いが、何が人をそうたらしめるのか?そこに鋭く向き合い一種の願いのように正義を望む人。
この段階で正義はもしかしたら復讐なのかもしれない。しかし、どうしても"正義"を望まざるを得ない。
当時、正義側だろうが悪側だろうが一歩違えば立場は逆転していたであろうというそんな考えが込み上げる。

アンソニーラパーリアの演技が非常に良くて引き込まれる。
マーティンフリーマンはどうしても演技が軽く見える。そのため終盤の怒涛のシーンで感情移入していたのにフリーマンの声で一瞬我に帰る。そういうビジネスマンの役であるから上手いっちゃ上手い。

意外と知られていないアイヒマン裁判。
手始めに今作から見てみるのはどうだろう?
Ryan

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