なっこ

奇蹟がくれた数式のなっこのレビュー・感想・評価

奇蹟がくれた数式(2015年製作の映画)
2.8
閃きはどこからやってくる?

天才と秀才の違いってなんだろう。
私はどちらでもないから分からないけれど。
ラマヌジャンは閃き型の天才でハーディは冷静沈着な秀才よりの数学者に見えた。
どちらにしても真理を追求する姿は美しい。

東洋と西洋、インドとイギリスは、考え方も生活様式もまるで違っていて、偏見や思い込みは当時であれば当たり前、海を渡ってやって来たラマヌジャンには郷に入れば郷に従えという圧力が当然のようにあっただろう。

異質な世界に飛び込んでいくことも冒険だが、同質なものの中において異質なものを受け入れる勇気もまた、冒険であるように思う。

自分の中にあっても、見ないように気が付かないようにしている部分。まるで感情は醜いものだと抑え込んで理性で全てを進めていこうとしているような。
天才同士だから、文化や生まれた土地が違っていても数学を通じて分かり合えた、、、いや、そうではなくて、
ラマヌジャンの純粋さ、天才的な閃き、諦めない姿勢に徐々にハーディが影響されていく…といった感じに見えた。

同質なものの中に埋もれていることは、安心だ。
異質なものは、ただそれだけで受け入れ難い。何故なら、受け入れることはそれまでの自分を否定する行為。
それでも、革新は、そういう葛藤から生まれてくるもの。

その身を安全なものにするために、100%自分自身であろうとする。自分の好きなもの、興味のあるものだけで自分を形作り、自己の欲望にのみ忠実であろうとする。そのほかなんて関係ない。しかしそうであることは、本当に幸せだろうか。

自分の中に自分とは無関係に思えるようなものを受け入れるスペースを持つこと。

創造性はきっと、そんなところに住まう。
なっこ

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