国分蓮

ラ・ラ・ランドの国分蓮のレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.6
【男が男に、女が女になる映画。自分らしく生きよう。往年の名作映画のエッセンスを取り入れた、懐かしくも新しいミュージカル。エマ・ストーンの歌唱力に圧倒。】

ミュージカル映画としてなら満点をあげたいくらい楽しかったです。楽しかったという感想でしか語れない自分が嫌になるぐらい楽しかったです。
音楽も素晴らしく、映画系サントラではぶっちぎりの一位を獲得し続けているのもうなずけます。

冒頭からいきなりぶっ飛ばしてます。大半の人がその時点でララランドに入園してしまうでしょう。
あれ撮るの大変だったろうなぁ…。

時代遅れの男女が夢を掴む、実にシンプルな話をあそこまでミュージカル漬けにして、大作にした監督の功罪は大きいです。
といっても監督はまだ32歳。
その若さでここまでハリウッドの隆盛やジャズの衰退を描けるのって、もうそれ自体ララランドなんですけど。
確かにジャズの衰退については、「セッション」でもフレッチャー先生に語らせてはいましたが、今作でもその危惧を、ライアン・ゴズリングの口をついて出てきていました。
古き良きを知っている彼だからこそ、新しいものへの不安、拒絶等
言いたいところがあるんだろうなと思いました。
なので、ジャズについての多少の知識がないとちょっとわからない部分も出てくると思います。
有名プレイヤーの知識はある程度まとめなどで知っておく必要があります。
なくても楽しめる作りですけどね!

それから目を惹くカラフルな衣装の数々。オシャレです。
ミュージカルに色使いは重要でこの点でもかなり気を使って服を選んでいるんだなと思いました。
本当に夢の国のよう。

それからエマ・ストーンの歌が響く。聞き惚れるとはこのことです。歌手の人でしたっけ?
ストーリーでは女優志望のようですが、両方いけますよ。はい。
ライアン・ゴズリングがフォローに回っていると感じるぐらい彼女の歌が響く、響く。
彼も下手ではないんですよね、むしろライアン・ゴズリングが歌う映画は結構あるんです。
「ラースとその彼女」とか「ブルー・バレンタイン」とか。
それでもエマ・ストーンを輝かせるようにしているのは、きっと意図的なものなんでしょう。
女優を目指す、ダイヤの原石的な。

それと、大人なダンスがカッコいい。2人の息は完璧に合ってますね。まぁそれもそのはず、ライアンとエマは「ラブ・アゲイン」「LAギャングストーリー」などで共演して恋仲を演じているんです。もう慣れたもんなんでしょう。コミュニケーションが大事なダンスだから、この点も狙ってキャスティングしたのなら監督は凄い。

そして、セッション好きには嬉しいJ・K・シモンズの再登板。シーン的には短いですが、ほぼフレッチャーで笑いました。
アンサー!!!!と恫喝されたり、頬をひっぱたかれたりしないか心配でしたが大丈夫でした。

この映画の予備知識として観ておく必要がある作品は、
「カサブランカ」
「理由なき反抗」
「シェルブールの雨傘」
「雨に唄えば」
「ワン・フロム・ザ・ハート」
「世界中がアイラブユー」
もちろんこれらを観なくても楽しめますが、監督が影響を受けたと公言しているだけにララランドのギミックを100パーセント楽しむには視聴不可欠であると思います。

それから、ちょい話。
気づいたのは今の所自分だけだと思います(ここ自慢!)が、エマの女友達に「エクスマキナ」でキョウコなるアンドロイドを演じ、フルヌードまで披露したソノヤ・ミズノが出ていました。
やっぱり身長ありますね。モデル業が本業なのに映画界に本格的に殴り込みなんですか!?ズルい。

自分の夢を掴むには、何かを諦めないといけない。全部手に入れるなんて無理だ。それが自分の望んだ結果じゃなかったとしても、掴んだその先には輝かしい未来が待っている。
とまぁ最後だけカッコつけましたがこんな話でした。
ハッピーエンドかどうかは観客次第ですね。
僕は大いに楽しめました!

ありがとうララランド。
入園料1800円は安いぜ!
国分蓮

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