まぴお

ラ・ラ・ランドのまぴおのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.3
【夢のようなミュージカルは嘘じゃなかった】

開始早々おまえら「夢」でも見てんのか?ってくらい高速道路の渋滞の中を非現実に躍り狂う人たち。

たぶん実際に目のまえでこんな事されたら「夢」見てるのかなって思うよね?

おいおいこちとらこの前もスケジュールミスで徹夜で仕事してんだよ!泣きながら仕事してたんだよ!

寝みぃんだよ!

ストーリー的にはベタで目新しさはないし懐古厨かってくらいに過去のオマージュ入れてくるし(多分、映画が好きじゃない一般の人はほぼわかんないと思う)映像もレトロな感じだし正直いうとすこし首がカクンってなったよ!眠くて!これほんとにアカデミー賞を多部門ノミネートした作品なのかよって思ったよ!こいつはまずい!眠すぎる!今日、来たの完全に失敗した!前の日は休養してみれば良かった!

うん。たぶん映画館で本当に「夢」を見てたんだと思う。信じられねーと思うがラ・ラ・ランド見に来たと思ったら実は「夢」を見てたんだと思う。予告でも「夢」のようなミュージカルって言ってたし。

だってなんかよくわからんけど映画の内容に合わせてゴズリングとエマみたいに映画館の中でいちゃいちゃしてるカップルがいるんだよ?「夢」だからしょうがない?でも「夢」の中だからってこれはマズイと思うよ?あああ?あれ?これ絶対キスしてるよね?キスしてるよね?わかるから!「夢」の中でもわかるから!ゲンコツでコツンってやっていい?コラァって怒っていい?そういうのはスクリーンの中の俳優だけの特権だよ?リアルで目のまえでされるとドン引きだから!主演バカップル2人って感じで見えないところでやって?誰も観に行かないから!

そうなんです。テーマは「夢」なんです。
有名な女優になる「夢」を見るエマ・ストーンが演じるミア。
自分のジャズ・バー経営を「夢」見る売れないジャズピアニストのライアン・ゴズリングが演じるセブ。

非情な現実を突きつけられ「夢」を諦めるのか続けるのか迷う二人の心情がとても切ない。
そして「夢」を叶えるには何かを犠牲にしなければならない。


映画館の中はそんな夢と現実が入り混じりエネルギーだけが上昇していく。
そのボルテージが最大に膨れ上がってパチンと弾けたとき
ハッと自分が夢を見ていたことに気づく。それともあれが現実だったのか?

いや多分これは全部、夢だったんだと思う。
そう思うことで見終わった後の余韻がとても温かくなる。

きっと映画芸術科学アカデミーもこの作品の夢を見る手伝いをしたんだよ。
だから作品賞受賞も「幻」になったんだと思う。皆、大好きな映画を通して同じ夢を見ていたんだよ…

605本目
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