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LION ライオン 25年目のただいまのnacoのレビュー・感想・評価

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「自分とは何者か?」
オーストラリアでたくましく生きる青年、サルー。
父母と弟の4人暮らし、しかしサルーと弟は養子だった。

サルーは5歳の時、地元インドで家族と離れ離れになった。心優しい大好きだった兄、グドゥに無理を言って一緒に郊外まで行ったものの
兄とはぐれた一瞬のうちに長距離の回送列車に乗ってしまい、
見知らぬ土地に到着する。
言葉も通じないところで、自分の家の名前を伝えても伝わらない。ましてや電話などない時代。
家に帰ることは絶望的になった。

孤児院に送られ、厳しい生活を送るが
ある時オーストラリアに住む二人の夫婦に養子として迎え入れらる。
温かい夫婦と共にサルーは健やかに育つ。

自分の大学進学の門出に両親とディナーに行く。
ヒンディー語は忘れ、流暢に英語を話すようになっていた。
メルボルンの大学で「自分のルーツを知りたい」という想いに火がついた。インド系留学生の集まりの中で、周りの身の上話を聞いた上に、
子供の頃どうしても憧れていた揚げ菓子「ジャレビ」で、過去の思い出がフラッシュバックした。

同じく養子である弟の親への問題行動が目立った時、それに対する親への申し訳なさ、不甲斐なさを
サルーの中では本当の子ではないから、という結論に達する。
そして自分も養子であることを意識し始める。
googleアースを使って、今までは会うことが絶望的だった母と兄弟に会いたいという想いが強まり、探しに行く物語。

家族探しに没頭しすぎるあまり、感情が不安定になる日々。それでもオーストラリアのママや恋人が背中を押してくれたおかげで、ついに故郷を見つける。
幼いサルーは"ガネストレイ"と思っていたところは"ガナッシュレイ"という地名だった。

25年越しに母に再会。
サルーがいつか帰ってくることを願って同じ場所に住み続けていた。
大好きだった兄、グドゥはサルーが列車に乗った日、別の汽車に撥ねられて死んだ。
また、サルーは自分自身の名前も間違えて覚えていて、本当の名前は"シェルウ"、「ライオン」という意味だった。
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