ayuka

LION ライオン 25年目のただいまのayukaのレビュー・感想・評価

3.9
まじで震えて泣いたわ。前のハンカチを持ったおじさんも、隣のトレンチコートの女の人も後ろの人も鼻水をズーズーして泣いていた。

スラムドッグミリオネアで学んだつもりだったけど、見たときから成長したせいかホルモンのせいか、映画の描き方のせいか、今回のほうがインド社会に対するショックがバカ、、バカデカかった。前半のインド社会の不平等さに怒りがめちゃくちゃに込み上げてきてボロ泣きした。自分が置かれている日本の平和で便利な社会に対する怒りと、どうしょうもできないような遣る瀬無さとで言葉にできない、爆発しそうな感情でいっぱいだった。

サルーがスプーンで真似する場面、なんて不公平な世の中を上手く描いているシーンだろう。表と裏をいっぺんに見られる代表の国はアメリカだろうと思い込んでたけど、、、差が顕著に見られる不公平な国なんていうのは数え切れないほどあるんだろうね。私は何もできない、こんな世界に生きていたくないと思ってしまった。恵まれた社会に、家庭に生きているけれど、不公平な環境下に置かれた世界の沢山の人々に申し訳ない気持ちがして、そんな気持ちはありがた迷惑な話かもしれないけど、でもこの生活を放り出したくなった。こんなこと恵まれた社会にいる私の戯言でしかないんだ。本当にやるせない。チープな言葉だ、やるせない。

家のない子どもたちがどんな行く末を辿るのか、怖くて怖くてたまらない。もし私がインドの迷子だったら。生まれてきた意味ってなんなんだろう。ただ産み落とされただけみたいだ。サルーのオーストラリアのお母さんが言っていたことがまたこの映画の大きなテーマに念を押す。

この映画は、諦めないことの大切さや、家族愛なんかも教えてくれるし、感動ポイントは再会するということ、なのかもしれない。けれど私の心に大きく大きく爪痕を残したのはインドの現状や悲劇だった。同じ回で映画見終わってた人、「インドってすごい国だね、、、でもあれも一部でしかないんだよね」って話してた。その人たちの心に残ったのは、感動再会ストーリーよりもインドの現状のほうが大きかったのかもしれない。

やるせなさすぎて、恵まれた自分への怒りで満ち過ぎて帰りに「僕たちは世界を変えることができない」を借りてきました。題名がまさに今の私の気分です。変えることができないよ〜って声をあげて大泣きしたい気分です。

ストーリーとしてもとてもとても良いものでした。感動ポイントでもまんまと泣きました。できるだけたくさんの人に見てもらいたい。

(日本のポスター、あれじゃあ伝えたいことが全然伝わらないよ!)
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