ナーガ

LION ライオン 25年目のただいまのナーガのネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

あらすじです。
インドの田舎に住む5歳のサルーは、お兄ちゃんと妹とお母さんが大好き。ある夜、お兄ちゃんの仕事に無理やり付いて行ってしまい駅で迷子になる。
停まっていた列車に乗って探し始めるが、いつしか寝てしまい、その間に列車は出発。列車は回送だったため降りられず、2日後くらいにカルカッタに着いてやっと降りられる。
ヒンディー語しか喋れないサルーは、ベンガル語圏のカルカッタではなかなか助けてもらえない。仕方なくカルカッタの駅やスラムで一人で寝泊まりを始める。そんな中、ヒンディー語が話せる女の人が優しくしてくれたのでついて行くと、食べ物や飲み物をくれて体を洗ってくれてすっかり安心する。しかしその女の彼氏のような男が現れて「明日いいところに連れて行ってやる」とか言い出す。サルーは何か危険を感じて、隙を見てそこから逃げ出す。(多分人身売買されるところだったのだと思うが、はっきり説明はなかった。この映画全編通して説明的でないところが良いと思う。)
その後また駅などで寝泊まりするが、結局別の大人に捕まって、孤児院のようなところに連れて行かれる。
やがて慈善活動家が持ってきた養子縁組の話がまとまり、オーストラリアのタスマニア島の夫婦に貰われていく。少しづつ英語を覚え、欧米風の暮らしに慣れ、1年経った頃、もう一人のインド人の子供が兄として家族に加わる。兄は自傷癖のある難しい子供だったが、養父と養母は大きな愛で、サルーと難しい兄を育てていく。
20年後、サルーはメルボルンの大学に入り、恋人もでき、何不自由なく幸せに暮らしている。が、たまたま訪れたホームパーティで懐かしいインドの焼き菓子に再会し、どうしても実母や実兄に会って自分の無事を知らせなければならないと思い始める。うろ覚えの村の名前や、駅の近くの貯水塔などの記憶をたよりに、グーグルアースを使って故郷の村を探し始める。
しかし、実母を探すことは養母を裏切る行為だとの思いから、養母にこのことを言えず苦しみ、養母と距離を置くようになる。
大学を卒業しても職につかずグーグルアースで故郷を探し続ける日々。「手のかかる」兄も家を出てしまっている。
やがて養母が身体を壊し、お見舞いに行った時「ママに本当の子供がいたらよかったのに。本当の子供ならママを助けてくれるから」とか言ってしまう。その時初めて養母から、インド人の子供を養子にしようと思った訳を聞く。地球はもう人間で溢れているから子供を産むよりも、恵まれない子供を引き取って育てる方がいいと思ったと。それと、12歳の頃に、茶色い肌をした子供に出会う夢を見たと。
やがて、グーグルアースでインドの地図を眺めていたサルーは、閃いたものがあり、画面を拡大して行くと貯水タンクのある駅があり、見覚えのある道、見覚えのある村を発見する。間違いない。
養母や恋人にこのことを話し、一人インドへ旅たつ。夢の中で何度も通った道を実際に歩いて、5歳まで生まれ育った家にたどり着く。しかし家はヤギ小屋になっており母はいない。引っ越してしまったのかと思いながらも、5歳の頃の小さな白黒写真を見せて近所の人に母の所在を聞く。すると一人の男の人が、黙って歩き始める。恐る恐る着いて行くと、サリーを着た何人かの女性たちがやって来て、その中の一人がサルーに近づいて来た。母だった。妹もいた。3人はしっかりと抱き合い、「きっと帰って来ると信じて、遠くには引っ越さなかったの」という母。
後日、養母もインドに来て実母としっかりと抱き合うのだった。(これは実際の映像だったのだと思う)


感想
何から何まで良かった。特に前半の子供のサルーが良かった。
宣伝のあらすじなど読むと、養子になるまでのことはあまり書いてないが、実際はたっぷりと時間をかけて、実兄が大好きな様子や裕福ではないが愛のある暮らしが描かれていた。
インドにもオーストラリアにも行ったことがあって、大好きな国だということもあるのかもしれませんが、とても良かったです。
オーストラリアで成長して行くところの描写は少なくて、差別されなかったのかなあとか、兄との関係はどうだったのかとか色々知りたいことはありますが、全部描くのはテーマが散漫になってしまうので映画としてはこれでいいと思います。
原作本(自叙伝?)があるなら読んでみたいと思いました。

私にとっての1番の感動ポイントは、養母が、インド人の子供を養子に迎えることにした理由を話すところです。子供ができないから養子をではなく、子供を産むことはできたけれども敢えて産まずに養子を取ることにしたという。そういうことだったのねー。凄いわ〜。
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