すぎち

ウィークエンド・チャンピオン 〜モンテカルロ 1971〜のすぎちのレビュー・感想・評価

4.0
1971年 F1モナコグランプリのウィークエンドを描いた実録映画





▽以下ネタバレ注意▼





若きジャッキー・スチュワートにチーム監督のケン・ティレルの姿が観れるのはレア

生まれてない時代のF1の世界なので
もう観るだけで新鮮でした

マシンコンセプトや大きさはいまと全然違うし、マシンに※ヘイロー(halo)などもなく

※飛来するマシン残骸やパーツの破片などからドライバーの頭部を保護するためのコックピット保護装置のこと

簡易なヘッドレストが真後ろにあるだけ真横と前方に頭部を守る物がない時代…

市街地サーキットとはいえコース上の真横で寝そべっている客も居て安全性に至っては皆無に等しい。またコースの中にいるカメラマン達もまた走るマシンのすぐ近くに居るから恐ろしい

ジャッキー・スチュワートが市販車に乗ってコースを紹介してくれるのと、チームメイトのフランソワ・セヴェールにドライビングアドバイスをしているシーンが良かった

あとコース脇からスチュワートが見た他のドライバーのドライビング評も面白い。

走行ラインが間違ってるとか、ブレーキが早過ぎ、シフトダウンが早すぎる、奴は速いなどなどチャンピオンになる人は自身の速さだけでなく他のドライバーの腕を見抜く力もあるんだなと思いました

ファンジオ、スターリング・モス、デイモン・ヒルの父、グラハム・ヒル、グレース公妃の映像も貴重ですね。
あとスチュワートの奥様がとてもきれいです…

決勝がスタートし、まず驚くのがスタートのシグナルが旗振りの手信号なこと

レース中のケン・ティレルのタイム計測もストップウォッチ…

予選のタイム計測とかどうやって当時測っていたのか気になりました

表彰式でモナコ大公とグレース公妃から祝福を受けるスチュワート夫妻の姿が格好良かった

ちなみにジャッキー・スチュワートはこの年F1ワールドチャンピオンになり計3回王者に輝いている偉大なドライバーです

しかしよくこのような貴重な映像が今まで倉庫に埋もれていたのだろうか…
世に出てきて感謝しかない。


映像を観た現在のスチュワートとカメラマンの対談も良いです。

当時の自分を見て意見を求められたスチュワートは

お前 散髪しろ(モミアゲ)

爆笑です(笑)


話はそれましたが、当時の安全性について語っているのも見逃せない
5年間レースしたら3人のうち2人が死ぬ確率と語るスチュワートの話を聞くとゾッとします…

当時は燃料タンクも事故で簡単に割れ火災が発生することが多々ありながら、消化器も少ない、消化器の薬剤も不適格、マーシャルの少なさ、医療体制の不確立などを語り
ドライバーとしても引退してからも声をあげた功績は限りなく大きい。

スチュワートほか当時のドライバー達の意見が現代のF1の安全性を高めたのは間違いない

チームメイトのセヴェールや友人のドライバーの事故についても語るスチュワートの話も悲しい

残らせた家族や恋人などが居るんだなと改めて感じました…

またスチュワートがレーサーになったきっかけ話も驚くし、失読症だったことも告白し…いかに彼が人生で努力してきたか分かります。

彼がF1を走る時代に観ていたら絶対ファンになってそう…

最後に当時のモナコのコースと見比べながら市販車で現代のモナコのコースをドライビングしながら説明するスチュワートの姿はいつまでも輝いていた

自分はF1見始めたのが1991年。
当時はアイルトン・セナの全盛期でホンダエンジンを乗り回す彼のファンでした

残念ながらそのセナは1994年にレース中に事故死してしまい自分もかなりショックを受けたのを思い出しました…

もうあのような悲惨な死亡事故が起こらないぐらいいまのF1は安全であるがスチュワートのメッセージはF1に関わる人達は忘れてはならないと思う

悲惨な事故シーンも映っておりますが…F1ファンならオススメです!
すぎち

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