カラン

イット・フォローズのカランのレビュー・感想・評価

イット・フォローズ(2014年製作の映画)
4.0
ゴーストが出ないところで、がさがさしながら爆裂するサウンドトラックは古風なシンセサイザーで、ちょっと金が無かったのかな〜っていう代物である。が、普通の家ならば、床が震えて物がガタガタし出すレベルの音量にしても耐える音圧である。こういうのは爆音にすると、とても心が充実する。防音設備がある方はどうぞお試しください。で、どこかで聴いたサウンドだなと思って、なんだったか考えながら観ていたのだが、思い付かず。(^^) そういう時こそFilmarks人のつぶやきで、レフンの『ネオンデーモン』(2016)じゃないかなと。

『ネオンデーモン』の方が、payが高そうな作曲家にやらせた感じで、表情はずっと豊かである、ただ、音の配置はオーソドックスでけっこう普通なので、あまり語るべきことはないかなと。『イット・フォローズ』はみなぎるような音圧の高いシンセサイザーサウンドを頭の上を中心に配置していた。アナログプロダクションがリマスターしたピンクフロイドなみには、音が隙間なく部屋を満たす。解像度の高い音で部屋を満ち満ちにするのって、気持ちいいよ。(^^) 音って空気中の分子の動きなわけど、全ての映画音声が部屋中の空気分子を全面的に支配できるわけではない。そういう意味で『イット・フォローズ』は楽しかったなと。

とはいえ、映画の音声って、映像と音声の信号をセパレートして、映像系を完全に止めて音楽以外の経路を停止しても、オーディオ専用のソフトには勝てないんだけどね。たとえピンクフロイドの50年前の録音でも、映画ソフトは音声だけでは勝てない。究極はIつの映画に対して映像専用ソフトと音声専用ソフトの2つを正相で再生することなのかもね。(^^)

それで、この『イット・フォローズ』なんだが、ITというのは物象化したらモンスターになる抑圧された性衝動を指しているのだろうが、いかんせんこの映画のティーンエージャーたちが、普通かそれ以上に性を楽しんでいる、あるいは、少なくともその可能性を持っている子たちなので、、、抑圧がないよね、ぜんぜん。爽やか過ぎるんだよ。勝手にやればと言わなくとも、勝手にやっていらっしゃる。音が入るとなかなか怖いんだけど、それ以上の感慨を抱けない。普通にモテて楽しんでる若いやつでも、性欲の真相は化物的な破壊力と禍々しさを発揮するので、気をつけてくださいねってことみたいだけど、そうなんですか?って思うなあ。性欲の無意識の形象ならば、ターセム・シンの『ザ・セル』(2000)の方がうまくいっているかなと。最終的な着地の仕方に関しても『ネオンデーモン』の方がずっとやばくて素敵だよね。

『アンダー・ザ・シルバーレイク』(2018)は最後まで観る気にならなかったので、本作はダメ元で観たのだが、なかなかよかった。回転してズームでメインの人物を行き過ぎるショットとかかっこいいと思う。ちょっとストーリーが浅いんだけどね。


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