いやー、これはあまりにも・・・陳腐ではないか。『ディゾルヴ』が褒めてた低予算映画で当たりを引いたことがないぞ・・・。すごく乱暴な整理だけど、インディー音楽におけるウンザリしてしまう例の「ローファイ」と、低予算映画における「手ブレ」は同じ現象なのかもしれない。逆光を多用した光の取り入れ方も、いささか感傷的過ぎて、若干・・・ウザい。
で、「旅先で出会った男女がいい感じになって、会話劇を演じながら迫りくるタイムリミットまでともに過ごす・・・」なんてあらすじを書いてみれば、誰しもが『恋人までの距離』を思い出すだろうけど、いやー、この二人にロマンもへちまもないのでは。2,000年間の迷いが吹っ飛ぶ何かが描かれているようには思われない。であれば、刹那を生きる道もあったのではなだろうか。ここは予算の問題ではなくセンスの問題でしょう。
驚いたのは、「モンスター」づくりのために思い切りぶっこんで来るCG・・・ではなく、ウザい手ブレ撮影の合間、シークエンスの切り替わりに使われる俯瞰ショットの豪華さだ。歴史ある街並みを一望したり、海を横切っていくボートを天空から捉えてみたり、またその空間における移動の方向も(おそらくは)定石の逆をついていたり、なかなか見ごたえがあった。