【プリヤンカはママボクサー】
Netfrixの配信にて。プリちゃん版ロッキー?程度の認識で見始めたら、予想をよくも悪くも覆された。
単純に面白いかと言えば“ふつう”。しかし映画に込められたものは興味深く、少し学べて、みた甲斐ありました。
2014年作、インドではよく知られているという女性ボクサー、メアリー・コムの伝記“風”映画。スポ根というより、結婚し母となる彼女が、ボクサーとしての自分とどうケジメをつけてゆくか?に焦点を絞る女性映画でした。
まず舞台…特に農村部の特異な美しさに心洗われるのですが、場所はマニプル州…インド北東端の地で、ミャンマーのお隣。
ボリウッド映画では初登場らしいですが、政情不安定のため、ロケ地は別とのこと。撮影監督が日本女性、中原圭子さんであることは要注目。映像は常に彩り豊か、しかし煩くない色合いで、見応えありました。
住民が主にチベット・ビルマ語族のため、アーリア系である主演、プリヤンカー・チョープラーの顔が、両親とまったく違ってチョー浮いてます!慣れるのが大変…てか慣れない。東洋風メイク頑張ったようですが効果なし。
でも、ソバカス浮かせた可愛らしさが際立ち、最後まで萌えてしまった。彼女を眺めているだけで飽きません。回想でのJK制服姿はアレでしたが。日本の80年代スケバンに見えたぞ。
…等、本人は魅力的なのですが気になることも。
メインランドのインド人は、東北部の人を“チンキー”と呼んで差別することもあるそうで、本作にも類した描写が出てきます。これが、プリちゃん相手だと嘘くさくなった。
本作、興業的にはプリちゃん主演は大きかったでしょうが、質的には歪になった点、幾つもありますね。しなやかさと頑固さを併せ持つ人物像はプリちゃんド嵌り。ボクシングも本人が演じた分、説得力ありましたが、プロらしさには欠け脱力。
メアリーさん本人の映像と比べると、まず俊敏さでほど遠い。これは巧く誤魔化せなかった演出も拙いでしょう。何となく、ミッキー・ロークの“猫パンチ”を思い出してしまった。
“スポコン映画”の文脈でみると、後発となる『ダンガル』や『スルターン』等からはかなり落ちますね。肝心の試合シーンが弱いのが致命的。が、“女性映画”としてみれば、これら後続作品への橋渡しになっていると思います。
ママボクサーって大変。冒頭、戒厳令下と陣痛の“カットバック”が先を暗示していた。…とはいえ映画を見ずとも想像つく大変さで、それを上回る掘り下げは見つからなかったが。
終盤の“母子復活”は因果関係不明の、笑えぬギャグみたいでした。総じて、プリちゃんの“スター映画”以上でも以下でもないが、そこからはみ出た部分を掘り下げると味わい深いね、という映画でありました。
<2018.7.3記>