三隅炎雄

炎と掟の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

炎と掟(1966年製作の映画)
3.0
安藤昇松竹時代の一本(主演4作目)。日活ムードアクションな展開が最後は東映ギャング映画に。シャープな編集のえらくスピーディーな展開だが、細部にチープさ、駄菓子感がつきまとってカッコよくなり切れない。おっと身を乗り出す冴えたカットがある一方、脇の役者が酷く泥臭い大げさな演技をしてモヤモヤする。一番盛り上がるはずの最後の銃撃戦はキテレツでほぼコント、冗談にしか見えない。魂消る。ただここまでやると井上梅次の特有のキッチュな味、珍品としての値打ちが出た。面白くはないがなんとなく憎めない、切り捨てられない。

安藤は三船敏郎ふうに高速ビンタを連発したり、芝居の途中で裕次郎か旭もどきにギターで弾き語り始めたりと色々試行錯誤中で、そこを見る楽しみもある。ムードアクションのお相手高千穂ひづるが、時代劇で見せた輝きがないのが残念。菅原文太のやくざは東映時代かと錯覚するほど形が出来ていて、コワモテ現代やくざからトルコ風呂での桃次郎的ズッコケ演技まで楽しませる。
三隅炎雄

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