不在

アンナと過ごした4日間の不在のレビュー・感想・評価

アンナと過ごした4日間(2008年製作の映画)
3.6
主人公レオンがアンナの足に赤いペディキュアを塗り始めた時点で、観客はこれが純愛物語ではないことにはっきりと気が付くだろう。
彼はあの時強姦していたのが自分だったらよかったと思っており、犯されている彼女の姿を再現しようとしているのだ。
この監督はそんな地の底にいる人間すら慈愛を込めて撮ろうとする。
善悪の区別がつかない孤独な子供のようにスクリーンへ映し出される彼を見ていると、この世の正義について何の意見も持てなくなる。
育てる覚悟もなく子を産んだ親が悪いのか。
彼に自由を与えずに育てた祖母が悪いのか。
孤独な人間を排除しようとする社会が悪いのか。
ならば世間から蔑ろにされてきたレオンは被害者だということなのか。
その全てが正解で、誤りなのだろう。
人を裁くには、それ相応の覚悟が必要だ。
果たして我々にそんな事ができるのだろうか。
不在

不在