るるびっち

orangeのるるびっちのレビュー・感想・評価

orange(2015年製作の映画)
1.2
『オレンジ』より『カマトト』で良いのではと思ったが、カマトトとは少し違うかも。
土屋太鳳演じる女子高生は、内気で一歩が踏み出せない。
でも本当は勝算や保証がなければ行動しない、人目を気にする打算的人間ではないか。恥やリスクをとりたくないのだ。

未来の自分から手紙が来る。高校時代にこうしとけば、あーしとけばという後悔ダラダラの手紙だ。
それ自体が学生の自分に失敗回避をやらせて、未来の自分はリスクなしに成果を得る作戦だ。
彼女の本性はノーリスクでリターンを求め、失敗を恐れて他人や過去の自分に面倒を押し付けるぶりっ子なのだ。

好きな男子に起こる悲劇を回避するために、手紙に色々書いてあるのだが肝心な事を省略している。
この日は彼の足止めNGとか喧嘩するから要注意とかあるが、肝心の理由や原因を書いていないので失敗する。
ぶりっ子だから、過去の自分に対してさえ恥を公開できないのか?
多分、話を盛り上げるためにワザと失敗するよう曖昧な手紙にしているのだろう。作り手側の作劇が稚拙なのだ。

主人公は未来からの手紙で、より良い行動を示唆されている。
つまり勝算の保証がある訳だ。にも関わらずグズグズする。
彼を引き留めようとすると、同級生に邪魔される。
しかし、その程度の障壁しかない。
そこで躊躇するのは、自分のリスクのことしか眼中にないからだろう。
本当に彼を救うためなら、躊躇するのはおかしい。
内気だからじゃなくて、自己保身ばかり考えて動けないのでは?

この主人公は手紙でサポートされているにも関わらず、上記したように碌に行動ができない。
なので、友人達が主人公をサポートする。二重サポートだ。
彼女が言い出せない提言を、代弁してくれる。
お陰で主人公は、恥もリスクも妙な発言で傷つくこともなく状況を変えられる。逆に言うと主人公は居なくても良い。行動できないのだから。
主人公が汗をかかない映画で、感動することは無い。
なりふり構わぬ行動が、人の心を打つものだろう。

運動会で彼がコケて傷つくから回避してって、未来からワザワザ書くことか? 幼稚すぎる。
それも4人の友達のお陰で回避できたのだ。
こんなに無力な主人公って、主人公の資格あります?
一見、高校時代のかけがえのない仲間の物語に見えるけど、友人たちに人生はない。あくまで主人公をサポートする便利キャラなのだ。
ディズニーアニメに出る妖精と同じで、サポート以外の役割はない。

一番酷いのは、悲劇回避で好きな彼との人生が変わったら、未来の夫はどうなるのか? 子供までいるのに。
夫に対しての誠意が丸でない。
本当に、自己保身しか考えていない。
でも大丈夫、未来の夫も4人の友達のひとりだから。
人生が無い妖精キャラだから、何も気にしてないらしい。
めでたしめでたし、イヤ、あほらしあほらし。

胸キュンよりも、周囲の視線を気にしてぶりっ子やリスク回避でないと生きられない息苦しい学生の実態と感じた。
日本のオレンジは腐っている。
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