Donatello

マネー・ショート 華麗なる大逆転のDonatelloのレビュー・感想・評価

4.5
アダム・マッケイ監督って殆どコメディ寄りの人だと思っていたので、こんなにも真面目に作るのかと正直驚いたというかですね、これ名前伏せられて「監督誰でしょうか?」問題出されたら、「マ、マイケル・ムーア?」とか答えそうな感じでしたよええ。
ドキュメンタリー撮るのやめたんかなって思うレベルで。

何よりキャストにスティーヴ・カレルさんが混入されているので、タイトルと監督を総合して考えると、概要知らなきゃ完全にコメディかと思っても仕方ないです。

監督が監督だけに軽いタッチでは描いてるけど、劇中に描かれる事実は非常に薄ら寒い現実をシニカルに、あくまでシニカルに描いてる作品で、下手なホラーより背筋が寒くなる話でしてね。

確かに途中マーゴット・ロビーちゃんが突如現れて、泡風呂に浸かりながら「私が説明するわ」なんて言ってくれますけど、逆に頭に入ってこないですよそれ。

サブプライムローンの危険なカラクリを唐突に見破ってCDSという保険をかけた天才投資家役のちゃんベイル君。

その保険を受けた相手の銀行家が「頭おかしい奴がいてさぁ儲けちゃったテヘペロ」とナイトクラブで羽振りよく振舞っているのを見て、逆にその話で同じくカラクリに気づいたライアン・ゴズリング君扮するドイツ銀行の行員と、その話を持ちかけられたモルガン・スタンレー傘下のヘッジファンドマネージャー役スティーヴ・カレルさん。

ゴズリング君の資料をうっかり手に入れた後ろ盾のない若い投資家の2人組と、その片割れとたまたま知り合いだったというだけで助けを求められ何故か力を貸す優しい伝説の銀行家役のブラット・ピットさん。

この3つのグループを、所謂メリーゴーランド方式で描いてるわけですけど、当然ちゃんベイル君とピットさんがイカしてる役で、逆にまさかの一番迫真で最も悲惨なのがスティーヴ・カレルさんという、その展開がコメディかなるほどね。

なんかどこかで面白いこと言ってくれるに違いないと思っていたスティーヴ・カレルさんがずっと怒ってる。

トップレスバーで、オッパイ目の前に、流石にここではなにかやらかしてくれると思っていても、相変わらず怒り心頭のカレルさん。
なんという高度なコメディなんでしょう。

いくら賭けに勝って会社が儲かっても、親会社が気付かずに負けなら意味ないカレルさん。一番悲惨です。全然華麗じゃない。
なんという難しいコメディなんでしょう。

『フォックス・キャッチャー』のそれとは違う哀愁を漂わせるカレルさんに途轍もなく魅入ってしまって、ディスク化されたらあと3回ぐらい連続で観たいと思ったので星4.5つけちゃうよ僕。
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