一発逆転のスカッとするサクセスストーリーってまとめてしまうと完全にミスリード。金融業界を舞台にしたブラックコメディでした。私は金融無知サイドのさらに端っこにいるので、わかりやすい解説でも置いてきぼりを喰らいがちですが、演出が絶妙で飽きずに最後まで観れました。
自分の過去を振り返ってみれば東京の神谷町、大手町、恵比寿などから金融マンな外国人が一瞬でいなくなったことは記憶にあります。ただ、その背景にあったことがなんなのかをあまり理解していなかったのが恥ずかし。“リーマンショック”や“サブプライムローン”とは何だったのか、が少しでも理解を深めることができてよかったかな。
主流の逆バリをして大儲けした話ではありますが、ブラックユーモア調に煙に巻く作風で伝えようとするのは猛烈な怒りと問題意識なのでしょうね。
難しい金融話を上手にエンタメに落とし込まれていて面白かったですが、苦い味がする余韻を味わう作品でもありました。しくみを熟知した業界にいる人が保身に回り、そのつけが一般市民に直撃する不孝話は、行き過ぎた資本主義への警鐘。大なり小なりこの日本でも繰り返されている普遍的な題材なのかもしれませんね。
