ねこ無双

666号室のねこ無双のネタバレレビュー・内容・結末

666号室(1982年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

666…だけど、ホラーとは全く無関係。
なんで666なんだろう?

ヴィム・ヴェンダース監督がカンヌ映画祭を訪れていた監督たちを、ホテルの一室に個々に呼び、映画の未来についてカメラの前で語ってもらうドキュメンタリー。
部屋にはテーマが書かれた紙と、つけっぱなしのテレビ、そしてカメラだけ。一人きりで語るフリースタイル。
映画は死に瀕した芸術か?をテーマに。

悲観的な人もいれば、楽観的な人もいて。
どういう点で考えるか方向は様々。
映画館vs テレビ・ソフトだったり、商業的vs インディペンデントなど。

インタビューに答えてくれた監督は、ゴダール、アントニオーニ、スピルバーグ、ファスビンダー、ヘルツォークなど錚々たる面々。

フィルム映画の衰退、テレビ放送、ソフトの攻勢を嘆く人や、映画が商業的になっていき小作品が創りづらくなっていく傾向、
ただ単に今は劣勢だけど今が悪いだけと楽観的な人。
ここでは映画館へ足を運ばず、テレビやソフトで観る方式を選ぶって問題も含まれて。
これは1982年の映画。おそらくテレビが台頭してきた頃なんだろう。
今は2021年。
テレビすらも最近は観なくなって、配信やソフトをレンタルして観たりしている自分。
それでも、やっぱりたまに映画館で映画を観る、という時間、空間を凄く大切で特別なものだと考えている。

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監督たちの気になった言葉。


「私はハリウッド一の楽観主義者だ。大作映画は今後も繁栄する。もっとも小作品はドル安になると、コストが掛かって製作できるか不安である。
それより大きな問題は製作側にある。彼らがより大きな配当を求めることにより、万人向けの平凡な映画を作るように求め始める」
ースピルバーグ

「今の映画作家に求められているのは、若者や新しいニーズに応えること。新しい技術も受け入れるべきだ。スコセッシも言っていたが、今更フィルムによる撮影や保存は古い。新技術を取り入れれば、より多くの人が映画を楽しめる。未来の人がどんな映画を必要とするかに応じて、柔軟に対応すべき。高品質大画面テレビができれば、映画館は不要になるかもしれない。時代に適応することが大切だ」
ーアントニオーニ

「商業映画と芸術映画のつながりが切れて、製作者がお金のためだけに映画を作るようになると、みんなが不幸になる。トルコのように反政府的な映画を作るだけで投獄されることも起きる」
ーユルマズ・ギュネイ