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666号室のkayupanのレビュー・感想・評価

666号室(1982年製作の映画)
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ヴィムヴェンダース監修の映画監督へのインタビュー映像。あらかじめ作成した質問内容に、招かれたゴダールやスピルバーグなどが部屋の一室でカメラに向かって持論を述べる。
面白かったのは、政府に拘束されテープ録音で回答することとなったトルコのユルマズギュネイによる「芸術としての映画」と「産業としての映画」についてだ。
芸術映画は受け入れられるために大衆の希望や心理などの要求の変化を注視する一方、産業映画は金に傾倒し、映画全体が保守化し、その結果主張性のある作品を潰すことになった。
この現象は、世界規模で情報や商品が画一化していく現在から見れば、映画に限ったことではないだろう。
他のインタビューでも、テレビの高性能化によって自宅で映画を見ることが増える可能性に触れていたりと、現代の環境をそれなりに言い当てている。これを見放題サービスで見ること自体がなかなかの皮肉だと思う。また、「最近のくだらない新しい映画を見るくらいなら、好きな映画をもう一回見たほうがいい。」というのも共感できる。
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