まさかさまか

二重生活のまさかさまかのネタバレレビュー・内容・結末

二重生活(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

作品自体がそれぞれの二重生活だったよう。

序盤から、尾行を哲学として取り扱っていくことに ???と躓いたが、
主人公が尾行するにあたって見えてきた他者の二重生活から、いつの間にか主人公の中の二重生活にこちらまで引き込まれていき、最後の微笑みに切なくなってしまったことすら私の二重生活であるかと終盤に近付けば近付いて行く程感慨深くなった映画であった。
"尾行を哲学"し、"哲学し人間の実存"と繋がっていく。

尾行、不倫、破局…
それぞれ社会的な目で見ていると確かに自己都合でもありどんよりとはするが、
人間、個々一人として他者と接触して動いていることを重点に置いて見ている(哲学していく)とこの映画でもテーマにしている人間の実存、そして共存について考えさせられる。
主人公あってこれだけの他者の二重生活を再現出来ている事に驚き、途中からは全ての人の行動と心理に興味が湧いていく。
そしてまた私とは、私にとってあなたは、あなたにとって私は…人間とは等と、
あぁ、哲学として取り扱ったのは、そういうことでしょうか

となっていくのであった…
哲学とは学問でありながら
人間そのものができることであり…


終始じっとりとしていて視覚も薄暗いですが、俳優さん達の演技力と描写のひとつひとつがリアルで飽きる事無く観終えました。
人間ではない物体としてカメラを置く事でまた人間の行動について冷静にさせているような気がします。
個人的に、人間の心理的な部分だけで言えば、"凶悪"という映画とも重なる部分があります、こちらもリリーフランキーさん出演映画でしたね。