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二重生活のordinalのネタバレレビュー・内容・結末

二重生活(2016年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

モノクロで画質の荒いマンションの監視カメラは"対象"を客観的に映し、主人公の(絶妙に下手でヒヤヒヤする)尾行は対象を主観的に考察する。しかしどちらも誤解を生むことがある。またこの映画は監視カメラの映像も主人公のいる環境も丸ごと映しているわけだが、監督の人為的な編集により観るものに登場人物の視線の意を誤解させたり「なんだ、そうだったのか」と思わせたりして我々は翻弄される。人はほとんど、世の中に存在するものとしないものを客観的な真実の通りに見分けられていないのではないだろうか。たとえ誰かの行動が二重生活に見えても誰しもの心の中が"秘密"によって二重になっていても、実存するのはただ一人一人なのである。この映画は実存という大きなテーマを巡って、教授が無心で描く円で"重なり"を暗示しながら主観と客観を問うていると思われる。

人が生きる意味、日々の中で何かに興味を持ったり他人の気持ちを推し量ったり、些細な喜びを感じたり悶々と思い悩んだりする意味とは何なのかを考えさせられたのと同時に、今苦しんでいることは大したことではないし苦しむことをやめて気楽に生きようと思えた。修士論文って人生において一体何なのだろう。修士の2年間って何なんだ?どう過ごすのが正解なのだろうか。


ところで、卓也(ゲームデザイナー)と石坂の愛人(デザイナー社長?)が繋がっていると感じたのは私だけだろうか。
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