イギリスに滞在しているムスリムの青年たちが、互いに反目し合いながら爆破テロの準備を進めていく。テロリストの言動を「滑稽なもの」として捉えている、ブラック・コメディ。
成功と失敗、その両方とも「神の思し召し」で済ましてしまう人間たちのジタバタ劇。聖戦の理念をマトモに考究することもなく、とにかく「テロを遂行させなければならない」という気持ちだけで突っ走る。
屋外に漏れまくりの談合、頭を左右に振ってカメラ対策、カラス爆弾でカミカゼ特攻、着ぐるみの中に爆弾を仕込んでマラソン大会に参加。これらテロリストの奇行を、コメディ演技ではなく、徹底したシリアス演技で描いていく。
「傍から見ると変人なのだけど、当人は真面目にやっている」という構図が風刺コメディを引き立たせている。主人公がテロ行為に疑問を持ち始めてからの、シニカルな畳み掛けが見応えあり。