福福吉吉

弁護人の福福吉吉のレビュー・感想・評価

弁護人(2013年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
ソン・ウソク(ソン・ガンホ)は高卒ながら不動産や税務の弁護士として成功していた。しかし、昔から世話になっていた食堂のスネの息子のジヌが公安当局に逮捕され、スネからウソクは相談を受ける。ジヌへの非人道的な扱いに怒りを覚えたウソクはジヌの無罪を証明するために弁護を引き受ける。

◆感想◆
ストーリー前半はソン・ウソクが高卒ながら苦学して弁護士になり、他の弁護士の扱わない不動産や税務を取り扱い、成功していく明るいものになっていますが、ウソクの知らない裏の世界では公安が無実の人を無理やり反政府勢力に仕立て上げることがまかり通っていました。

ソン・ウソクは真面目な性格で自らの考えで状況を克服できる頭脳や行動力の持ち主ですが、一方、軍事政権下の韓国の実情に疎く、報道を鵜呑みしてしまう人物として描かれていました。

しかし、ストーリー後半、ジヌの逮捕をきっかけにウソクは軍事政権下の公安の悪辣ぶりを知ることになり、裁判で真っ向から公安と勝負しようとします。法律を武器にして勝負する姿はかけ引きを知らない青臭さがあるも、私には弁護士とはこうあって欲しいと思うイメージがウソクに重なりました。

裁判での検察、裁判所のやり口が非常に汚く、観ていてイライラしますが、そこにウソクが声を上げてその卑劣さ、違法性を訴えてくれるので、ウソクと気持ちがリンクしました。

終盤の展開は予想外でしたが、ウソクという人間がここまで社会を動かしたのかと思うと感慨深かったです。

とても面白い作品でした。重いテーマでしたが、逃げないウソクの姿勢に引っ張られて最後までしっかり観ることができました。

鑑賞日:2023年11月24日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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