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弁護人の小のレビュー・感想・評価

弁護人(2013年製作の映画)
3.9
シネマカリテのカリコレ2016での先行プレミア上映。公開は2016年11月12日予定。面白かった。コメディタッチの前半から一転。後半はえげつない拷問シーン、法廷での丁々発止のやり取りといった迫力、緊迫感が凄い。そしてラストシーンはなかなかのカタルシス。

ノ・ムヒョン元大統領が青年弁護士時代に担当した重大冤罪事件「プリム事件」をモチーフとしたドラマ。プリム事件とは、≪1981年全斗煥政権に反対する民主勢力を抹殺するために、社会科学書籍を勉強した釜山地域の学生と会社員など19人を逮捕し拘束した事件を言う。≫
(http://japan.hani.co.kr/arti/politics/16695.html)

前半、苦学して弁護士になった主人公のソン・ウソクが司法書士の仕事や税務専門の弁護士としてバリバリ働き、裕福に暮らすようになる様子が描かれる。このときの主人公は、情には厚いけど、享楽的な感じ。人権派弁護士として苦労をいとわないような人間には見えない。

ある日、弁護士受験勉強時代にお世話になったクッパ店の息子ジヌが、読書会勉強中に、国家保安法違反容疑で逮捕される。オバサンに頼み込まれ一緒に面会に行くと、ジヌの体には無数の打撲の痕跡が…。

これをきっかけに、一気に男前の人権派弁護士に転じるソン・ウンク。まるで別人、というのは置いといても、法廷での迫力のシーンはシビレル。ああ、俺もあんなふうに言ってみたい、と少し憧れる。

変身したソン・ウンクはジヌ達の無罪を勝ち取ることができるのか。一転二転する展開に、「おおっ」と思ったり、「エッ」と思ったり…。ラストは上手いなあ、心温まるなあ、と。

上映後、今話題の宇都宮健児さんのトークショーがあり、それによれば、韓国での弾圧は日本の特別高等警察(特高)を参考にしたのではないか、とのことだった。『蟹工船』の小林多喜二は特高による拷問で1933年に亡くなったと考えれている。

この映画を観て、「韓国、怖いね」と思った人は自らの歴史を顧みるべきだ、ということなのだろうと思う。日本もこのような怖い状況はそんなに昔の話ではないし、日本人にも同じようなことをする素地があるのだ。

話は変わるけど、カリコレで上映する映画って人気なんですね。回線がプアなせいもあるのだろうけど、深夜零時のネット予約開始後、予約殺到のためか、大苦戦。料金決済までこぎつけても、回線が切れて最初からやり直し。何度もトライして、予約できるまで1時間。

なので観れた嬉しさは、ひとしおなのだけれど、予約の翌日は思いっきり寝不足なのが玉に瑕。
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