天豆てんまめ

赤い玉、の天豆てんまめのレビュー・感想・評価

赤い玉、(2015年製作の映画)
2.0

高橋伴明監督と主演の奥田瑛二が「老い」と「性」を描いているのだが、濡れ場に力を入れ過ぎて、他の描写、演出が観ていられないという皮肉。
タイトルの「赤い玉」とは男性が打ち止めになることの隠語のようだ。

高橋監督がこの作品を製作したきっかけが、若い映画作家が性表現から逃げていて、映画界のエロスが後退していることを危惧したことらしいが、作品自体は、監督本人のセルフパロディ的で奥田瑛二に自分を投影しているかのよう。

新作を撮れずシナリオと格闘する映画監督を奥田に演じさせ、自分も京都造形大学で映画を教えているように、奥田も学校で教鞭を取ってる。なので、学生映画製作の模様が何度も出てくるのだが、何だかもう、、というシーンが沢山出てくる。劇中で「雨を唄えば」の有名なシーンをフルに学生が再現しているのだけど、なんでこれ見せ続けるのだろうと、非常にきつかった。

また、奥田が途中で女子高生をストーカーし始めて、途中で妄想と現実がないまぜになるのだが、彼女が下着でダンスを踊るシーンもシュール過ぎて、ついていけない。

良い点は、奥田瑛士だからこそ「初老の色気」は説得力があることだが、この作品を観て、若き映画作家が発奮するきっかけになるかどうかは、私には分からない。