のりまき

天使にショパンの歌声をののりまきのレビュー・感想・評価

天使にショパンの歌声を(2015年製作の映画)
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カナダの名門寄宿学校が現代化の波を受けて改変を余儀なくされる。院長は何とか学校を維持しようと、転入してきた姪をピアノコンクールで優勝させ、実績をアピールしようとする。しかし姪は2人きりで暮らしてきた母に学校へ送られたことに傷つき反抗的な態度をとる。
女子校の生徒たちの清らかな歌声と主人公の弾くリストの「愛の夢」ショパンの「別れの曲」からイメージした邦題だろうが、拙い。
もちろん少女たちも重要だが、それ以上に修道女たちの人生が社会の変動によって失われることがこの作品の肝。だからこそ彼女たちが震える指で頭巾を外し、カラーを取るところが哀切に描かれる。
現代化が彼女たちのアサイラムを奪う。社会から外れた彼女たちの隠れ家。女性に厳しい社会にはそういう場所が必要だった。それが平等という言葉の下に、より苦しい立場へ追いやられる。
プロクルステスの寝台。それは本当に平等なのか。
そこからの追放を選び、ただ姪の叔母として、優勝者の抱擁を受ける。
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