りょう

ザ・アウトローのりょうのレビュー・感想・評価

ザ・アウトロー(2018年製作の映画)
3.6
 ちょっとネタバレかもしれませんが、1990年代の傑作である「ヒート」と「ユージュアル・サスペクツ」を足して3で割ったような印象です。
 かなり指摘されていますが、この物語に140分は無駄だったかもしれません。あまり意味のないダイアローグが目立ちます。後半の連邦準備銀行のシーンは、かなりの長尺で丁寧に描いていますが、犯行の仕掛けが複雑すぎて、うまく表現した映像にもなっていません。
 ただ、強盗団のキャラをしっかり描いて感情移入させて、ジェラルド・バトラーたちが演じる保安局の面々のアウトローっぷりで50/50の対決構造をつくり、善玉と悪玉の境界を曖昧にさせた意義はあります。とにかくマッチョな男性陣ばかりで、女性たちの描写が雑すぎるのは、マイケル・マン監督の演出に倣ったからなのでしょうか。ニックの妻と娘たちは完全に放置されたままでした。
 終盤の銃撃戦は、かなりの迫力とリアリティがありますが、渋滞している道路を舞台に一般車両を盾にしながら武装した強盗団を襲撃するなんて…、完全な違法捜査です。みんな避難したようになっていますが、あの状況で民間人の犠牲者が誰もいなかったはずはありません。
 主人公のニックに共感できないように描かれているのは、エンディングのサプライズにつなげる意図があったように思います。ネタばらしの映像にもう少しキレがあれば、「ユージュアル・サスペクツ」に近いカタルシスがあったはずですが…、かなりもったいなかったです。
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