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たかが世界の終わりのHKのレビュー・感想・評価

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
3.4
終末モノを思わせるこのタイトルが前々から気になってはいましたが、たまたまCSでみつけて鑑賞。SF要素はナシでした。
なるほど世界の終わりなんて、なにも巨大隕石とか殺人ウィルスとか第三次世界大戦とかで人類存亡の危機にならなくても、余命わずかと宣告された人にとっては、もうそれだけで充分に世界の終わりですね。

過去にグザヴィエ・ドラン監督作を観たのは『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』のみ。
やっぱりこの人、顔のどアップをジックリと撮りますね。
今回はそれが登場人物5人の会話劇を引き立てます。
どアップでも下品にならない繊細な顔と表情を持ち合わせた役者じゃないと、この監督の作品には出れないようです。

とくに印象に残ったのは、はじめ誰だかわからなかったマリオン・コティヤール。
この人のこんなに素朴で自然体の役をこれまで見たことなかったので新鮮でした。
ナタリー・バイ、ヴァンサン・カッセル、レア・セドゥらの火花散る演技合戦も見モノ。
主役のギャスパー・ウリエルは私は初めて・・・と思ったら『ロング・エンゲージメント』の人でしたか。イマイチ私には印象の薄いキャラです。

家族の中でゲイのイケメン主人公は女性3人(母・妹・義妹)には受けがよく、男性1人(兄)には疎まれます。父親は不在ですが、もしいたらやはり兄の側なんでしょうか。
家族というもののうざったさ、それでもやっぱり縁を断ち切れない家族というものが描かれます。このリアルさはやはり監督の体験なのでしょう。

本作は興行成績は芳しくなかったものの、カンヌのグランプリ他、多数の賞を受賞してます。
ドラン作品はどうも私が積極的に観ようと思うタイプの映画じゃないので、今後はまた気が向いたら他作品も観てみようと思います。
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