このレビューはネタバレを含みます
気まずい実家に帰省する時の、行きのバスの中からもう割と憂鬱が立ち込めてて(何て話そうかなぁ…)って考えてる時のあの感じが伝わってくるオープニング。
同じ家の敷地内でも、部屋やそこにいる人ごとに全然違う匂いの空気が流れている感じがよく表現されていた。主人公にとって庭が一番自由に振る舞える空間なのも伝わってきて良かった。恋のマイアヒ。
愛情はあるけどとにかくうるさく喋る母親、嫌味で皮肉っぽい兄、思春期で攻撃的な妹が揃ったらどうなるかという最悪のシチュエーションが現実になる。世界一気まずくてドメスティックな空間でありのままに自分を曝け出すというのはある意味愛情であり甘えなのかも。
最後の方、みんな感情を爆発させて怒鳴り合って号泣してて、家族団欒の場としてはもうどうしようもないほどぶっ壊れているのに、(喧嘩が長引きすぎて時間が経ってるから)
夕方になった窓から西日の黄色い光が差し込んでるのが何とも言えないくらい美しかった。ここで過ごした日々の積み重なりを思わせるような柔らかい光だった。グザヴィエドランの作風は過激で観てる最中は苦手だとすら思うけど、そういう美的なアプローチをするところに結局人間愛を感じる。
劇伴の殺伐とした雰囲気が好きで繰り返し聴いている。