JOEJOE

たかが世界の終わりのJOEJOEのネタバレレビュー・内容・結末

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

傑作

はじめ、若い頃何か問題が起きて家を出た、家族と似たような性質を持たない繊細な芸術肌の次兄が、死ぬ間際に家族に伝えに行く物語、イージーな映画かと思った。

何がすごいって台詞の端々、小物類から色んな意味が推測される。
会えない子どもたち、敬愛するルイをほとんど知らぬ妹、ガラスの鳥のグラスチャーム、母のタバコ、兄の傷だらけの拳。
夕日の中、皆がルイが死ぬことを予感している。

ドランの映画で共通するのは母の偉大さや強さだけど今回もその点はそのまま。
端々に見える、家族を繋ぎ止めようとする母の振る舞いを見て欲しい。
鑑賞者側からすると一見、母はルイの方を尊重しているように見えるが、最後の母のタバコのシーンがアップになる。
そこで、きっとどの子どもたちにもあなたが1番だと言っているのだと推測できる。 

最期までここに居場所を求めてもやはり違うと気づいたのだと思う。
僕がいなくなっても問題ない、大丈夫。
だから何も言わないで去ったのかな。

ルイ側の視点で見ると異質で繊細なルイが可哀想だと思うんだけど、家族の視点から見ると中々にルイは自己中心的で心を開かない扱いにくい奴だと思う。
ずっと平行線の悲しい家族の話だと思った。
何度でも見たい。
光や音楽の細部を、隠された意味を味わいたい映画だと思った。
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