Millet

フィフティ・シェイズ・フリードのMilletのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

「どっちが主人かわからないな、それもいい」

結婚とはこういうものなんだよな、というのを思い知らせるような終わり方だった。
途中までは全く、セレブ夫婦のSMごっこによるハネムーンとイチャイチャなので、あまり現実味もない。

一応シリーズ初代から続くプレイルームはまだ現役で使っているし、サー呼びもしている。
アナの髪を巻き込まないように三つ編みにするところから始まるというのはすごくロマンチックなのだが、やっぱりプレイの内容はライトなもの。ただ拘束して挿入するだけ。
アナの方もずっと笑っているし、一方的なドミサブプレイではない。
ただ愛し合ってるだけ。

この愛し合ってるということがこの作品のハッピーエンドに繋がっている。しかしこれを見た本当のドミナントやサブミッシブ、サディストやマゾヒストの方々はバッドエンドとも感じられるだろう。

一概には言えないかもしれないが、そもそも愛だの恋だのがある関係において本格的なSMなんてものはできないし、続かない。
つまり、ひねくれた自分でも普通の人を純粋に愛せると思えた時、SMの世界から一歩引いたところで人は恋愛や結婚をする。
という辛い現実、性癖との折り合いの付け方、プレイの終わり、というものを匂わせるラストだったからこれは一部の人にはバッドエンドだったのだ。

そしてどうしても、人の本質的に男は女の手のひらで転がされているのが心地よく感じるものだ。
アナが「サー」と言っていたとしても、その言葉に踊らされて、「愛してる」の一言で身も心も振り回されるのがクリスチャンだった。でも「それもいい」と思えた時に男は結婚を意識する。

映画の出来としては3部作の中では個人的に一番好き。こういう男と女の本質だとか、SMカップルの行き着く果てとか、そういう人の心の運びみたいなものがすごく丁寧に表現されていた、シリーズ1と2が全部3のための前座だったとしたら視聴者は随分振り回された感はあるが、結婚して普通の男女になってしまうというのは正直良かった。
濡れ場の多さに疲れてしまう人もいたかもしれないが、お金と心に余裕がある新婚の男女なんてあんなもの。



まあでも、あれだけのお金が稼げたら私ももっと笑って暮らしていただろう。ハネムーンだって行っただろう。
いつだって離脱できるんだと思えばアナのように日々の仕事も趣味のように楽しく思えるだろうし、クリスチャンのように(パートナーをとられるような気持ちになるので)欲しくない子供も産んでみようかともなったと思う。
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