高橋早苗

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオスの高橋早苗のレビュー・感想・評価

4.2
説明するまでもない
1998年 キューバの大物ミュージシャン達を集め 結成されたビッグバンド
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

同名のアルバムと
アムステルダムとNYカーネギー・ホールでのライヴ

それらをカメラに収めた ドキュメンタリー映画で
彼らは広く知られた

その後の彼ら。


「まるで映画か夢のようだ」と
何度も「なぜ今?」と問う ミュージシャン達

肌身離さず身につける 形見の杖に
キスをする イブライム・フェレール
「母は死んだ時から ずっとそばにいる」
12歳で 一人きりになった子のお守り


「最後の演奏は 墓の中でするよ」と笑うピアニスト
ルベーン・ゴンザレス
どうしてそんなに(曲を)覚えていられるんだ?と聞かれ応える

霊が教えてくれる
霊が弾いてるんだ


祖母が亡くなった時のことを話す
コンパイ・セグンド
なぜ箱に入れるの?と聞く幼い彼が
受け取るこたえ
「パーティへ 連れて行くんだよ
日差しから守るために 蓋をするんだ」


・・・ホント、ゆりかごから墓場までだな!^_^
杖つきながら
車椅子乗りながら
酸素吸入しながら
どこまで歌い踊るんだこのじーちゃん達!
格好良いにもほどがあるぞ^_^

そんなじーちゃん達に挟まれて
目をキラキラさせてる ライ・クーダーが
おじさんの筈だが マジでお子ちゃまに見えるわ。


…とかなんとか
軽く文句(いや褒め言葉♪)たれながらも
観ていると自然に 足が 膝が 手が 肩が
ウゴクうごく動く!w(´∀`*)


話すように
語るように
歩くように
ソンのリズムは 待ったなしで
“おまえのうたはどこだ?”と 問い続けるようだ


オマーラ・ポルトゥウンドの
「最後まで歌っていたい 最期までよ」の言葉は
どこか 甘い吐息のよう

何もない国 キューバで生み出した
誰にも真似できない 音楽への
叶わない恋心みたいに

…いや、叶ったけれど
いつまでも尽きない恋心かな


老いは
我が人生との蜜月なのだ
そのことを 愛すべき古老たちは 教えてくれる

「人の命は奪えても 歌声は奪えない」
そうして うたは
命と一緒に歌われ続けて
生きてきたんだね


adiós!!
高橋早苗

高橋早苗