茜

サベイランスの茜のレビュー・感想・評価

サベイランス(2008年製作の映画)
3.0
「ボクシング・ヘレナ」の大天然ぶりで大好きになったジェニファー・チェンバース・リンチの監督作。
言わずもがなデヴィッド・リンチの娘さんであります。

FBI捜査官の男女コンビが連続殺人を追う話。
凄惨な殺人現場で生き残った悪徳警官・ヤク中女・幼女、この微妙に食い違う3人の証言をもとに観客にも推理させながら進行する展開が楽しかったんです…が。
後半からの流れが陳腐過ぎてガッカリ…全てが予想通りで意外性も何にもない(泣)
もしやこのマンネリをひっくり返してくれるオチが用意されているのでは?と僅かに期待したものの、それも肩透かしで終幕。

ジェニファー監督って撮り方や音の使い方はとってもセンスあると思うのです。
実際本作でも、父親を彷彿とさせるダークで不気味な音が流れる序盤の殺人シーンなんかヘッドホンで聴いててゾクゾクしたし。
カメラワークだってちゃんとかっこよくて、自分はこの人の適度な余白のある撮り方が綺麗で好きなんですよね。
だからこそ脚本のガッカリ感がより一層高まってしまう。
これでちゃんと意外性のあるドキッとするような脚本が用意されていればと思うと惜しくて仕方がない。
本作に至っては知的で影のある幼女という絶妙キャラの使い方が勿体なさすぎました。
監督、本当にこの終わり方で納得してる?本当はもっと過激な事したかったんじゃない?と思わざるをえない…。

しかしながら本作でも所々に「それ要る?」っていう謎のアートフルなカットが挟み込まれていたりと、相変わらずジェニファー監督の天然っぷりが拝めたのは良かったです。
「つまんねーなー」って思っても何か嫌いになれないんだよな、この人の映画。
茜