間々田陽紀

500ページの夢の束の間々田陽紀のネタバレレビュー・内容・結末

500ページの夢の束(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

※自閉症という重たい?テーマを扱っているのですが、この監督はそれを感じさせない演出で結果としても飛躍的な結末も用意しないところの演出が用意されており最後までセンスの良さを感じさせてくれました。

※原題PLEASE STAND BYが邦題《500ページの夢の束》になっていますが、正直邦題の《のが重なる》響きが気になりますね。更にはウェンディにとって脚本を書くことは《夢》だったのでしょうか?単にウェンディが大好きなスタートレックの世界に浸っていることで精神状態を安定させていたのではないでしょうか?ウェンディが大好きな姉のオードリーの家に戻るエンディングからすると《STAND BY MEへの誘い》などはどうでしょうか?

※この映画は恐らくスタートレックのファンの方たちが観るとより一層楽しめる映画なのでしょうが、出演している俳優?そしてセリフ(クリンゴン語が登場)に散りばめられたウイット?が個人的には分からなくて残念でした。

※監督の味な演出として《ピアノ》の描き方も素敵でした。ウェンディと姉のオードリーの幼い頃の映像の中で、2人してそのピアノを弾いているカットを入れて、その後2人が暮らした家を売りに出した時にピアノを捨てようとしたシーン、更にエンディングでウェンディが家に戻ってくる時に、そのピアノを弾くシーンが出来てきます。この一連の流れの演出はにくかったですね。

※宇宙飛行士がどこかの天体で動き回るシーンができてきて、その2人がウェンディとオードリーだったりするのですが、その演出がさほど唐突感を与えないところが不思議でしたね。恐らく宇宙飛行士が出てくるシーンは脚本の中で描かれているシーンで、2人の宇宙飛行士2人(ウェンディとオードリー)が力を合わせて動いているので納得感を感じられたのかもしれません。

※映画の中で《横断歩道を渡る》ことが何やら《厚い壁》の象徴として演出されていましたが、この着目点にもさり気ない演出の妙みたいなところを感じましたね。なかなか浮かばない発送だと思いました。
間々田陽紀

間々田陽紀