いの

部屋/形態のいののレビュー・感想・評価

部屋/形態(1999年製作の映画)
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東大駒場寮のひと部屋を1年借り切って、実際の壁に描き続けたとのこと。ひとコマずつ描いては撮影するドローイング・アニメーション。和室の窓から光が射し、そこに賛美歌のようなメロディーが流れ、〝あおくんときいろちゃん〟ならぬ、しろくんとくろちゃんが追いかけっこをする。自在にかたちをかえ、溶け合ったり反発し合ったり混ざり合ったり増殖し合ったり。私は、今、佳境にさしかかっている牛河(多分3度目の『1Q84』)が、天吾と青豆を追っかけるために籠もっている部屋をどうしても想像してしまう。牛河がのぞく目を、逆に覗き込むふかえり。心が想像の世界を跳ね回るのは自由だ。きっと今作もみるたびに形を変えていくのだろう。およそ7分の短編。
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