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サクラメント 死の楽園のMikiMickleのレビュー・感想・評価

サクラメント 死の楽園(2013年製作の映画)
3.5
数年間連絡の途絶えていた妹から手紙を受け取ったパトリック。そこには、なにやら宗教じみた事が…
過激な突撃潜入取材などで有名なVICEのサムとジェイクと共に、3人は、“エデン教区”へと向かう。

森の一部を切り開き、自分たちで自給自足をし、外界との交流を遮断する彼ら。
妹キャロラインを助けだしにきたのだが、エデン教区の人々は皆が幸せそうにみえた。妹のドラ ッグ依存もなおっているように見えた。
物質や金銭を捨て、“共同体”として生きる事は、決して悪い事ではないのかと、そう思えてもくる3人。
夜のパーティーも楽しむ事ができた。
しかし、一人の口のきけない少女から渡された手紙には、「助けて」の文字が…



この映画は実際に1978年にあった、ガイアナ人民寺院の事件をモチーフに作られています。
ジム・ジョーンズを教祖とするアメリカのカルト集団“人民寺院”。
900人を越える信者がシアン化合物を飲んで集団自 殺 したカルト宗教で、それは、9・11以前までアメリカ史における大量死のトップだった事件。

映画では170人ほどだけでした。
やはり、本当の事件には到底及ばないなとはおもいます。
撮影クルーも3人だけだし、実際のライアン議員らの視察団が襲撃にあった事件のに比べるとかなりミニマム。というか、事実の恐ろしさがすごい。事実を知ってる分…
これはいたしかたないけれども…


さて、話を映画に戻すと、最初から不穏な空気が流れます。
マシンガンを持った見張りたち。
教祖の“お父様”にインタビューをするも、彼の言動に対する信者たちの異様な盛り上がりなどから肝心な事が聞けない…
“お父様”は、質問をうまく誤魔化す…
じわりじわりとした不安感が漂います。

が、この映画では、カルト集団の気持ち悪さ、怖さ、狂信的さはあまり描かれていません。
なぜ、少女らが助けてと言ってるのかも、言葉では言及しても、その映像が流れるわけではないので、怖くはない。ここをもっとしっかり描いて欲しかった……ほんとに…
教祖は胡散臭いけれども、カリスマ性はあまり感じません。
う~ん…

そして、手持ちカメラを使ってのPOV方式で撮影されているにも関わらず、思いっきりカットしてるし笑
2つのカメラで撮影したものを後から編集しましたというのはよいとして、後半の教祖の演説からのシーン、どう考えてもおかしい。 ダメじゃ~ん。一番重要なシーンなのに、それが気になって仕方ない… 監督がタイ・ウェストだから期待したのにな。

しかし、中毒患者や、ゲットーの貧民層なんかが、一転してこういった宗教に飲み込まれていくんだというリアルな恐ろしさがみてとれます。ラストの結末も、こういった事が現実にあったのだと考えると、本当に恐ろしい。
そして、妹キャロラインの前半と後半の雰囲気の違い、狂っていく様は良かったです。
MikiMickle

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