夏藤涼太

キル・ビル Vol.1の夏藤涼太のレビュー・感想・評価

キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)
4.2
時代劇と任侠映画と劇画と深夜アニメで日本を学んだ男が日本を描くとこうなる……ということのお手本のような映画でした。最高でした。

ずっと昔から見たいと思っていたが、グロすぎるからかテレビでは放送されないし、気づけばレンタルビデオ店は死滅してるし、タランティーノ作品でなぜかキルビルだけ配信されないし、この先一生見る機会ないわ……と思っていたら、なぜか先月くらいから急に各所で配信されだしたので、ようやく見た。

U-NEXTで見たんだけど、気持ち悪いくらい映像が綺麗でビビる。このリマスターのためにこれまで配信していなかったんですか???

元々タランティーノの演出や暴力描写、ユーモアが好きなので、絶対に好きになるやつだと思っていたし、案の定大好物なやつだったんだけど、今作はタランティーノ作品の中でも、もっとも構図がバッチリキマっていて、それが最高だった。

任侠活劇・暴力映画としては、北野武の映像(構図と演出と編集とリズム)が一番好きなんだけど、『キル・ビル』はそこに匹敵するくらいの大好物な映像群だった。
それは、短いアニメパートでさえも、である。さすがプロダクションIG。

なお、vol.2の方はそのキレキレな構図が失われていたが……
そもそも映画の作り自体、vol.2の方が「タランティーノ映画」っぽかったので、小津安二郎的な、"絵画的な構図の美しさ"を源流に持つ日本映画を踏襲して作られたvol.1の方が、日本人の自分の好みだったというだけかもしれない。

唯一の不満としては、ソフィーの戦闘シーンがなかったこと。
個人的には、ユマ・サーマンと栗山千明の次にビジュアル的に心躍らされたのは、ソフィーだったので。黒鍵とか使ってほしいわ。あのスタイルと髪型とファッションなら。

あと、やたら日本語が出てくるわりに、それらのほとんどが、カタコト日本語かべらんめぇ日本語なので、何言ってるかほとんどわかんないことかな……。日本語にも字幕つけてくれ、頼むから……。

とりあえず、テキサスの病院には絶対に入院しないと心に誓ってvol.2を見ることにしました。
夏藤涼太

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