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キル・ビル Vol.1のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)
3.5
「ジャッキー・ブラウン」以来6年ぶりとなるクエンティン・タランティーノ監督によるバイオレンス・アクション。
日本のヤクザ映画、アニメ、香港カンフー映画、イタリアのマカロニ・ウエスタンなどからの引用。独特のカメラ・ワークとハイ・センスな編集、モノクロと(ブルー)カラーなど多様な色彩、影絵、さらには刺激的なサウンドなど、これぞタランティーノというタッチで、ヒロインの壮絶な復讐バトルが、劇画風に展開される。
原題:Kill Bill: Volume 1(2003年、R15-)

ヒロインは、結婚式のリハーサル中、ビルを頭とする毒蛇暗殺団に襲われ、結婚相手とおなかの子どもを殺されたザ・ブライド(ユマ・サーマン)。
4年間の昏睡から目覚めた彼女は、暗殺団の4人(ルーシー・リュー、ヴィヴィカ・フォックス、ダリル・ハンナ、マイケル・マドセン)と組織のボス(デビッド・キャラダイン)への復讐を誓う。

第一部では、足を洗って主婦になったヴァニータ(ヴィヴィカ・フォックス)との戦いの後、
沖縄で服部半蔵から名刀を授かり、東京で暴力団を率いるオーレン・イシイ(ルーシー・リュー)のもとに乗り込む。

第1章  2番
第2章  血塗られた花嫁
第3章  オーレンの出生
第4章  沖縄の男
第5章  青葉屋での死闘

~登場人物~
・ ザ・ブライド / ブラック・マンバ(ユマ・サーマン):本作の主人公。
・ビル / スネークチャーマー(デビッド・キャラダイン):毒蛇暗殺団DiVASのボス。ブライドの元愛人兼師匠。サディスト。
・エル・ドライバー / カリフォルニア・マウンテン・スネーク(ダリル・ハンナ)
・バド / サイドワインダー(マイケル・マドセン):ビルの弟。
・ヴァニータ・グリーン / コッパーヘッド / ジーニー・ベル(ヴィヴィカ・A・フォックス):ナイフの使い手。
・ニッキー・ベル(アンブロージャ・ケリー):ヴァニータの娘。
・服部半蔵/はっとり はんぞう(千葉真一):伝説の刀鍛冶。沖縄で寿司屋を営む。
・オーレン・イシイ / コットンマウス(ルーシー・リュー):父親が中国系アメリカ人、母親が日本人。東京を仕切るヤクザの親分。
・ゴーゴー夕張(栗山千明):オーレン石井の部下。武器は長い鎖のついた棘付の鉄球「ゴーゴーボール」。
・ジョニー・モー(ゴードン・ラウ):オーレン石井の殺人集団・クレイジー88のボス。武器は仕込み刀。
・ソフィ・ファタール(ジュリー・ドレフュス):ヤクザ組織のNo.2。通訳兼弁護士。親はフランス人と日本人。
・田中親分(國村隼):ヤクザの親分。
・青葉屋の女主人(風祭ゆき)

「私に足りないのは、慈悲や同情や許しの心。理性じゃない」
It's mercy, compassion, and forgiveness I lack. Not rationality.

「武士たるもの、戦いに望んでは、ただ己の敵を倒すことに専念すべし。一切の喜怒哀楽、さらに情けは無用なり。邪魔立てする者は、たとえそれが神といえども仏といえども、これを斬るべし。これすなわち、戦いの根本に隠れし極意」

音楽は、ナンシー・シナトラの「バン・バン」Bang Bang (My Baby Shot Me Down)でスタート。
出演に至らなかった梶芽衣子は歌「修羅の花(The Flower of Carnage)」で貢献。

ユマ・サーマンの日本語が今一つだったり、日本(人)の描かれ方や殺陣の所作、誇張した動きなどに多少の違和感はあるが、タランティーノが持つ映像作家としての才能には唸らせるものがあり、代表作の1本としてよい。
ただし、人間の尊厳とはかけ離れたバイオレンス世界をサデスティックに楽しむタランティーノの作風には危険な香りが漂う。
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