みちみち

みちていくのみちみちのレビュー・感想・評価

みちていく(2014年製作の映画)
4.9
大人になる前の、何者かになるために悩む少女達の葛藤の物語。学校生活の中のクラブ活動という小さな輪の話しですが人の繋がりや関係性は社会の縮図です。成りたかった自分にれないミチルとなりたい自分が分からない新田の繋がりを綴ったストーリー。ミチルは自分の身体を噛んで貰う痛みで自らの存在を認識し、痛みが薄れ痕が消える事に不安を感じます。何年か前に映画かドラマか何かのドキュメンタリーで観たリストカットを繰り返す少女の言葉を思い出します。『死にたくて切ったのは最初の一回で後は生きてる事を実感する為に傷付けてるんだ、止めることが出来ない。やめたら死んでしまいそうだから。』ミチルの行為と同じなんだと思います。

クラスメイトの朝子の存在が私の学生時代に感じていた思いを代弁しているかの様でした。先生から、前を向きなさいと注意をうけ、前ってどっち?と答えたり宇宙から見た私達の主観性に疑問を持つ朝子。この映画の主張が此処に存在していると思うのです。親の離婚で町を離れる時、朝子が新田に漏らした『皆んなに合わせていたら友達できてたのかな?』が映画の主題とわたしは感じるのです。日本人の高い強調性に反して個性や独創性が薄い行動に学校での『前に習え!』の号令が有るのでは?と感じるのです。先頭が朝子なら皆はどこを向くんだろうか?

なかなか印象深い映画です。
好きな作品です。
最後に何者にもなれてない初老の自分を残念に思う事になりました。
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