刑事と容疑者の女、その澱む愛の行方を退廃的に描いた雰囲気はさながら『メロ・ハードボイルド』といったところでしょうか。
ヨーロッパ映画のような路地裏描写へのこだわりと場末的なムードが魅力的。
キム・ナムギルの虚ろでやさぐれた存在感とチョン・ドヨンの美しくも独特で寂れた風情、この二人の役作りも映画に非常にマッチしていました。
クァク・ドウォンがチョイ役ですが、癖のある刑事役で出ていて、なかなかイイ味出してます。
こういった映画は得てして過激な濡れ場を用意して話題の一端を担う作りが多いですが、今作は情愛シーンはひっそりと抑え目です。そこもまた好感の持てる作品でした。
あまり何も考えずそのムードをじっくり堪能する、という意味ではどこかヨーロピアン的な映画かも知れませんね。