何故、ディーパンは闘ったのか
母親を亡くした娘、イギリスへ移住を望む女性と引き合わされた主人公ディーパンは、偽造家族として難民審査を通過し、フランスへと渡るが…
静かながらも胸を締め付けられる映画
前半の少し他人行儀でギスギスした雰囲気をうまく表現していて、後半になるにつれ段々とそのギスギスした雰囲気が溶けてゆき、次第に本当の家族として認識していくようになっていた。それと同時に、昔どこかにあった狂気が復活し、次第に緊迫した雰囲気になってしまう。
隙を許さないと言わんばかりの様々な感情が入り乱れて、かなり複雑な気持ちになる。
この映画には、PTSDや本当の家族として着実に歩んでいこうとする様がある。
実際にあったスリランカ内戦の兵士であったディーパンは、終わった過去を忘れながらも、ある出来事により次第に悩まされていく、嘘の奥さんである人も次第に過去の記憶が蘇り、恐怖に苛まれる。
これは「アメリカンスナイパー」にも通づる心の闇を表している。
そして、本当の家族として歩んでいこうとする。それは、過去の自分と訣別し、「ディーパン」とその家族として、人生を歩んでいくという一つの山場。
度々現れる象は、スリランカでもっとも信仰されている仏教の白象なのではないかと考察した。
象の象徴は、 献身、忍耐、真理そして一部では幸せともあります。
ディーパンの闘いにはそれに通ずる何かを感じました。