いののん

ディーパンの闘いのいののんのレビュー・感想・評価

ディーパンの闘い(2015年製作の映画)
-
ニセモノから始まったエセ家族でも、本当の家族になれるんじゃないかと思ってしまった。ホンモノ(ホンモノって何だ!? 本人たちが うちら家族じゃね?って思えたら、それはホンモノの家族ってことだろ?)の家族になってほしいと願ってしまった。スリランカのタミル人、戦禍を逃れ、難民申請を通り抜け、フランスにやってきた。他人同士の3人が、生き延びるために父・母・娘のようにふるまう。信じたかったり、疑いたくなったり、不平不満を言ってみたくなったり、優しい言葉をかけてほしかったり、揺れ動きながら、歩み寄っていく。フランスに渡っても、ちっとも平穏なんか訪れない、危険な状況のなかで。


主人公のディーパンは、堅物でユーモアも理解できないしおもろいことも言えないんだけど、彼の行動自体が時折、妙で、笑える。なにより、管理人として働く、その働きぶりがいい。必要な用具はDIYしてまかない、掃除も修理も何でもござれ。その見事な働きぶりから、彼がスリランカで、相当有能な闘士だったのではないか、ということも透けてみえてくる。それで、ラストは、ディーパンの闘い。


カメラワークとか光るカチューシャとか、確かに時々、妙で、ヘンテコ。まるで、ディーパンそのもの。
いののん

いののん