Ricola

神のゆらぎのRicolaのレビュー・感想・評価

神のゆらぎ(2014年製作の映画)
3.5
心が「ゆらぐ」ということなのか。
神とは本当にいるのだろうか?
いるならこんなことにならなかったのではないかと、疑っても信仰心がそれに待ったをかける。
また、信仰心云々に限らず、人々は「奇跡」を待っている。

エホバの証人の信者や白血病患者、不倫をしている者や運び屋をしている者などの運命が、ある事件によって動く。
その事件を軸に、過去や現在を行き来しながら物語は展開される。


トイレの隙間とか部屋の外からとか、ベッドの脇からなど、覗き見るようなショットが多い。
それらのショットで、登場人物たちの「秘密」を探るように思える。

他の人たちの会話を流して、2つの場面の状況をリンクさせるのは面白い。
試着室でうなだれて出てこない婦人と、妻が諦める中家を出るレイモン。
それぞれ夫婦間で抱えるわだかまりという点では共通しており、それぞれのショットが交互に映し出すことで、彼らは「繋がる」ようだ。

サスペンス要素が意外にもあって、ああでもないならこうなのか?とか思いながら振り回された。
そこで少々、この作品の持つ重さが打ち消されてしまうようにも感じた。

他人同士の違う物語であっても、絡み合う状況とその思い。
悲しき運命も受け入れなければならない。最後の一言も曖昧で、観客に想像させることでじんわりと余韻を感じられるものだった。
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