ぽち

神のゆらぎのぽちのレビュー・感想・評価

神のゆらぎ(2014年製作の映画)
3.4
深く考えさせられるテーマと、ちょうど最近クローズアップされた「エホバの証人」問題を扱った作品で、捉え方で大きく評価が変わる所が面白い。

昨今問題となっている「エホバの証人」の教義内容は、もちろん非人道的、非科学的でほぼ犯罪の域に達している物で、宗教の愚かさを露呈している。

なので常識的に見ればラストの「飛行機が落ちるのは、全能の神がいないからだ」はストレートにそのまま受け取り、偶然に支配された物語を楽しめる。

しかし、もしこれを「エホバの証人」側から捻じ曲げて見ると、まったく逆の結論をこじつけることが出来る。

崩壊寸前でも夫婦という形態を維持している二人は助かり、不倫カップルは亡くなる。そして助かりそうだった「姪と関係を持った男」もラスト寸前に亡くなったことを告げられる。

これによってジュリーの「輸血」という行為が無になり、罪があると教義が認めた人が全部亡くなる。

そしてラストの台詞「飛行機が落ちるのは、全能の神がいないからだ」は
「あいつは神がいないとか言っていたけど、ほら全部神様の言うとおりになったでしょ」
と捻じ曲げて取ることが出来る。

どちらをとるかは視聴者の自由ではあるが、願わくば理性と知性で判断したいものだ。

それにしても人の命や自分の命を懸けてまで「イワシの頭」を崇めている姿は悲惨を通り越して滑稽に見える。



余談。
「全能の神」がいないことを証明することはできないが、「いてもいなくても同じ」ことは証明されている。

地球が丸いと信じたくない人、進化論を否定する人、ここら辺の危ない方と「神を信じる人」って同系列だと思うんだけど・・・

以前にも書いたが、宗教って麻薬と似ている。社会からは根絶すべきだが、病人や手術をする人にとっては必要なもの。

あ、そう言えば大笑いしたのが
「宗教の自由が法律で認められているんだから、宗教は必要だし神はいる」
ってTVで力説していた人がいた。

もう、おいおいって脱力するしかないな。
ぽち

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