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神のゆらぎのyhのレビュー・感想・評価

神のゆらぎ(2014年製作の映画)
4.3
こんな面白い映画をとても楽しみにして見に行こうとしてる人が乗る電車を遅延させたことに「神のゆらぎ」を感じながら観た一本。

洗練された演技により、リアルかつある程度フラットに描かれるのは、俗にまみれて崩壊寸前の人間関係の中で生きる人々と、社会における歪つさを恐れず強い信仰心を持つエホバの証人の二極。

明らかに神の信仰においてかけ離れたこの両極端を運命の翻弄の中に放り込むことで、信仰に微かな矛盾を生み出し、あくまで人間ドラマの中から「神のゆらぎ」を象徴的に描き出します。

それぞれの運命の転換点に収斂されていく脚本は、神が定める運命の不規則性と絶対性に対する問題提起を、より一層強調する作りになっていて秀逸でした。

神への疑問を示す中で最終的に人の運命を定める決断をするのは、強い信仰心を持つ主人公ってのはありそうな話。ですが、エホバの証人という設定が、信仰が一面的な思い込みにつながる危うさを、皮肉的に示唆しているようで新鮮味があります。

エホバの証人訪問シーンは今年No. 1級の神シーンでした。
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