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神のゆらぎのKKのネタバレレビュー・内容・結末

神のゆらぎ(2014年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

全能の神はいない。
大切な人の命と信仰の狭間で苦しむジュリー。セリフは少なく、感情を抑えたマリリン•キャストンゲの演技に引き込まれる。苦しみ迷いながらも、徐々にそれらが削ぎ落とされ自らの意志を帯びていく過程が、微かな表情の変化で繊細に表現されている。


「飛行機が墜ちるのは、全能の神がいないからだ」というセリフが、人の命に変えてでも守る信仰を否定しているようであり、墜落する飛行機に乗った人、乗らなかった人、乗ったけれど助かった人、それぞれのストーリーを描くことで「運命」の存在は観る側に意識させているように思う。
最後、人を助けるために信仰を裏切ってまで下した決断が、結果その人の命を救わなかったという現実を突きつけて終了する。

「神様はみている」「これが運命だ」、と、自分の見える範囲でしか理解できない人間というものを、人間の力が及ばない何かを設けることで、理解し、納得しようとし、そして理性と感情の間で苦しむのだろう。
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